長い夢を見ていた気がする。
ろくに内容も憶えていないのに、ただひたすら長かったことだけはわかる。そんな夢を。
もしかすると脳が取得した情報を延々と整理整頓し続けていたのかもしれない。それを夢だと勘違いしているだけなのかも。
目を開くと、病的なまでに真っ白な天井が見えて、ああここは病院なんだな、と思った。
……ん? いや、違う。天井じゃないや。この感じは……壁かな? そうだ、壁だ。ボクはうつぶせに寝ていたのだ。だから天井が見えるはずがない。
「……あ、れ?」
なんでこんな妙な寝方をしているんだろうか。わけがわからない。これでも寝相はいい方のつもりだったんだけど。
「ん……」
寝返りを打ちたい。そう思って身体を動かそうとしたけど、出来なかった。何だろう、何かで身体を拘束されている感じ。
そう思った瞬間、
「──ッ!?」
一気に目が覚めた。どうしよう、寝ている間に『水晶機関』に連れ戻されたんだ!
「……あーぁ……」
硬直時間が過ぎると、思わず止めてしまっていた呼吸が復活して、絶望の吐息が出る。
何て言うことだろう。あんなにも頑張っていたっていうのに、こんな凡ミスで連れ戻されてしまうなんて。身体を動かして確かめてみると、両手両足全てが拘束されているようだった。正直、やりすぎだと思う。誰の趣味なんだか。
って、あれ……? ちょっと待って。なんか違くない? 咄嗟に『水晶機関』に捕まったって思っちゃったけど、それはそれで唐突すぎる気がする。
ダメだ、まだ頭が寝ぼけている。よく考えて思い出そう。ボクは眠りに落ちる前に何してたっけ?
確かフェアリーアイ≠ェ暴走して──
「──って、ををっ!?」
思い出した!
ボクはベッドの中で跳ね起きようとして両手両足の拘束具にそれを阻止された。突如として背中に走る激痛。
「あいったぁ!? ────────ッ……!?」
脳髄にガツンと来たよ、この痛み。しかもその後ジーンとわさびのように後を引いて長く続く。ちょっとだけ涙が滲み出た。
そうだった。ボクはエルザとベルゼに追いつめられて、それでフェアリーアイ≠ェ暴走してしまって、その過負荷に耐えきれなくなって気絶したんだ。
ってことは背中の痛みは、きっとゼテオからボクへと変更した大火傷のせいだろう。咄嗟かつ無我夢中だったとはいえ、何とか過去の書き換えと未来の選択は成功したみたいだった。
ボクが選ぼうとしたのは誰も傷ついていない、死んでいない未来だった。だからボクを庇うことで生じたゼテオの背中の火傷は、逆にボクがゼテオを庇ったことにして、傷をボクの背中へと移した。出来ればハワードさんも無傷にしてあげたかったけど、そこまでは力が及ばなかった。でも、それでも何とか殺されてしまうという結果は避けられたはずだ。
こうして病院にいるって事が何よりの証だ。ハワードさんには自警団や病院の人を呼びに行ってもらう運命を与えておいたんだから。
それに、土壇場の救世主であるアレスくんもあの喫茶店へ来てくれたことだろう。そうでなければ、やっぱりこうやってボクは生きてはいないだろうし。
我ながらよく咄嗟にこれだけの未来を用意出来たものだ、と思うね。自分で自分を褒めてあげたいよ、ボクは。まぁあの時はフェアリーアイ≠フ暴走のおかげでテンションもおかしかったから、もう一度やれって言われても多分無理なんだけどね。
にしても、どうしてボクは変更したはずの過去のことをちゃんと憶えているんだろうか? こんなことは初めてだ。いや、初めてっていうのもおかしい感覚だけど、今回これが初めてだって言うのはフェアリーアイ≠ゥらの情報でわかる。以前は変更した過去のことなんてきれいさっぱり忘れていたのになぁ。『覚醒』のおかげ? って、何であれが『覚醒』ってわかるんだろう? これもフェアリーアイ≠フおかげ? なんだかもうよくわからない。
「ふぅ……まぁとりあえず、一件落着って感じかなぁ……?」
「お前さっきから何やってんだ?」
「うっひょおっ!?」
驚きのあまりかなり変な声が出てしまった。慌てて声がしたほうへ首を回すと、そこには案の定、黒い服を着た金目のお兄さん。
「ゼテオ!? いつからそこにいたのさっ!?」
「お前が……あ、れ?≠ニ言う三十分ぐらい前からだ」
「ぎゃあ! じゃあ全部聞いてたの!? な、ななな何でもっと早く声かけてくれなかったんだよオバカァッ!」
「……おもしろすぎて」
「小声でいやらしげに言うなあっ! ストレートで返してくれた方がまだましだようわあん!」
「ふん、おもしろすぎたからな」
「今更だオバカァッ──ハァウッ!?」
叫びすぎて背中の傷に障ったみたいだ。頭の中が漂白されるような激痛が脳髄を直撃してボクは枕に顔を埋めた。
どうやら背中の傷があるために、無理矢理うつぶせに寝かされているみたいだった。両手両足の拘束は寝返り防止だろう。にしたって頑丈すぎる気がするんだけど。
「あんまり騒ぐと傷が悪化するぞ。にしてもお前な、丸一日寝てたっていうのに本当に元気だな。バクテリアめ」
「バクテリア関係ないし!」
そうか。ボクはあれから一日中寝ていたのか。意外だ。あれだけフェアリーアイ≠ナ過剰に情報を取得したものだから、もっと昏睡すると思ったんだけど。
ボクはやや頭を傾けて、もう一度ゼテオに視線を向ける。
「……ゼテオだって元気じゃん。よかったね」
照れくさくて平淡な声で言ってしまったけど、内心じゃ本当に嬉しく思っている。過去を書き換えて無かったことにしてしまったとは言え、ボクの中では彼は身を挺して庇ってくれた人だ。好意に値する。そんな彼が無傷なのは、ただそれだけで喜びだった。
だけど。
「おお、そうだ。それについてお前に言いたいことが山ほどある」
ゼテオは急にまなじりを決して、ボクに顔を近づけてきた。
「うっ……何さ。ボク今動けないからそうやって近づかれると普通に貞操の危機を」
「感じるな! アホかお前は!」
べしん、と頭をはたかれる。何だよ、アホって言った方がバカなんだぞ。……ん? ちょっと違うかな?
「お前、どうして俺を庇った?」
「へ?」
「……いや、聞き方が違うか。言い直すぞ。お前、どうやって俺を庇った?」
「うぐっ」
いきなり痛いところへ来た。どうやって、と言われても何のことだかわからない──と言いたいところだけど、何となく質問の趣旨は理解出来る。
やっぱりゼテオには改竄前の記憶が残ってしまっているらしい。エルザの言霊の束縛を力尽くで振り払ったことから、そうなるんじゃないかって思っていたけれど。
「……やっぱり、憶えてるんだ?」
「……ってことはやっぱりそうなんだな?」
ゼテオはボクが頷くのを確認してから、言葉を続けた。
「いや、実を言うと勘違いしかけた。あんまりに記憶と現実がかけ離れていても、実際に目の前にあるものの説得力はでかいからな。ただ、あれからずっと考えてたんだが……やっぱりおかしいだろ。俺は確かにあの時、お前を庇って背中に大火傷を負った。だから気絶した。そうじゃなけりゃ、俺がお前に押し倒されたぐらいで気絶するわけねぇ。そうだろ?」
「あー……うん、そうだね」
ご明察、といった感じだ。でも本当ならそこらへんもみんな気付かずにスルーするはずなんだよね。他ならぬボクも。けど今回はボクも憶えているぐらいだから、ゼテオの記憶が悪い感じに混乱しているのもある意味しかたない気がする。
「やっぱりゼテオってエーテルに対する耐性が高いんだねぇ。他の人は多分この事には気付いてないんだよ?」
「だからお前何した? ヴェイルの奴も死んだはずなのに生きてるだろ」
「うん。だって、そうしたんだもん」
「ああ?」
顔をしかめるゼテオに、ボクは懇切丁寧に説明することにした。
何故だか今はものすごく頭が冴えていた。気絶する前は知らなかったことでも、するすると頭の中から出てくる。きっとフェアリーアイ≠ナ摂取した情報が定着してしまったんだろう。いつ知ったのか、どこで理解したのか、よくわからない知識も交えてボクはゼテオに解説する。
ゼテオが気絶した後、ボクのフェアリーアイ≠ェ暴走したこと。それが〈エクステンド〉が必ず経験する『覚醒』という現象だったこと。そのおかげでボクの能力の幅が異様に広がって、これまで手の届かなかった範囲の時間軸まで書き換えが可能になったこと。それを利用して、ゼテオが抱えている違和感の元になる変更を、この世界の運命そのものに加えたことを。
「だからハワードさんは生きてるし、アレスくんは駆けつけてくれたし、ボクの怪我は命に別状なかったし、『水晶機関』の対応は丸くなったし、エルザとベルゼはしばらく手出しをしてこなくなった。というわけ」
「……都合が良すぎるだろ」
「まぁ、ボクもそう思わないでもないけど。でも、これが事実。だってしょうがないじゃん。そういう力なんだもん」
だから〈エクステンド〉って呼ばれて化け物扱いされた挙げ句に閉じ込められるんだ。ボクは今になってようやく、『水晶機関』がボクを隔離していた理由を理解した。
自分でも恐ろしいと思う、こんな力。運命を操作するなんて、人の手には大それたことだ。ボクだけじゃない。どんな人間の手にだって余るよ、こんな能力は。だから『水晶機関』は隔離しなければならなかったんだ。そうするしかなかったんだ。
正直、ゼテオの記憶がある程度残っているのも、本当に彼のエーテル耐性が強かったせいなのか。それとも、ボクが「ゼテオに憶えていて欲しい」と願ったからなのか。よくわからない。
だけど、この力のおかげでわかったことがいくつもある。それに関しては、ボクは自分のフェアリーアイ≠ノ大きく感謝していた。話すとゼテオは怒るだろうけど、話さないわけにはいかなかった。
「でね……実は」
「……それでも、だ」
喋ろうとしたボクを遮るように、ゼテオが低い声で言った。
「え?」
疑問を声にしたその瞬間、ばしこん、と思いっきり頭を平手で叩かれた。
「あいたぁ!?」
「それでも、だ。命に別状がないってわかっていても、あんな真似は二度とするな」
ゼテオが強い瞳でボクの顔を睨んでいた。確認するまでもなく、怒っている。どうしてなのかは、聞かなくてもわかった。ボクはもうゼテオの過去を知っているから。ゼテオが、今のボクとアシュリーさんを重ねて見ていることは、少し考えればわかることだった。だから「二度とするな」っていう「あんな真似」が、「二度と俺を庇ったりなんかするな」という意味であることもわかった。
「……ごめん」
ボクは素直に謝った。だけどそれは庇ったことに関してじゃない。ゼテオの悲しい記憶を蒸し返したことについての謝罪だ。彼を庇ったこと自体は、ボクは後悔してないし、これからも絶対にしない。
きっと、アシュリーさんもそうだったんだろう。あの人がゼテオを庇って死んだ理由が、今のボクには何となくわかる。だって……
こんな、捨てられそうになった犬みたいに悲しそうな目をしている人を、ほっとくことなんて出来ないよ。
ボクはいったん謝ったついでに、さっき言いかけたことも含めて、もう一度謝罪を口にする。
「でね。……ごめんついでに言っちゃうけど……実は、視ちゃったんだ、ボク。それもごめん」
「? 何の話だ?」
「ゼテオの過去の事。アシュリーさんのこと。だから……それも、ごめん」
「……!」
ゼテオが息を止める。多分、今は驚いている。だけど、次の瞬間には怒りが沸騰するはずだ。以前、勝手に視る、と言っただけでミネラルウォーターのボトルを投げつけられた。それを本当に勝手に視てしまったのだから。
なのに。
「……そうか。視たか」
意外にもゼテオは怒らなかった。どことなく寂しそうにそう呟いて、それ以上何も言わない。
「……怒らないの?」
そう言うと、ゼテオは自嘲的に笑った。
「暴走してたんだろ? ならしょうがないだろ。視たくて視たわけじゃないんだ。怒るわけにはいかないだろうが」
それは普通に聞いていれば、分別のある大人の言葉だった。だけど、ボクはもうその裏にあるものを知っている。そう、ゼテオは本心を隠しているんだ。だからボクは不意打ちをしかけた。
「恐いんだ?」
「!?」
目に見えてゼテオの表情が凝固した。
わかってる。ボクは今、爆弾を放った。ゼテオに対して言ってはならないことを言っている。その自覚がある。でもこうでもしないと彼の仮面を剥がせない。彼の殻は破れないのだ。
「なんだと……?」
「わかってるんでしょ? まだわかってないの? それともわかってないふりをしているだけかな?」
「……何がだ」
低く押し殺したゼテオの声。そうやって強がってもダメだ。ボクはもう止まらない。その意地っ張りの壁をぶち壊してやる。
「言っただろ? ボクはゼテオの過去を視た。全部視たんだ。ゼテオの記憶も心も。アシュリーさんのだって、全部。これが何を意味するかわかるよね? わからないわけないよね?」
ボクの言葉はナイフとなってゼテオに突き刺さる。ボクはこれからゼテオの過去を、心を暴く。それはとても乱暴で残酷なことだ。だけど、そうしなければならない。ゼテオのためにも、アシュリーさんのためにも。
「何から聞きたい? 聞きたいんでしょ? それを我慢してずっと強がってたんでしょ? 教えてあげるよ全部。ゼテオの知りたいこと。〈エクステンド〉のこと。アシュリーさんの本当のこと。どうしてゼテオのエーテルが見えなくなったのかを」
ボクは悪魔的にゼテオを追いつめる。だって、ボクはもう何もかもを知っているから。冗談抜きで、今のボクはゼテオの全てを見透かしている。彼の痛いところなんて何も考えなくても突けるんだ。
「……お前、何が言いたい」
「ゼテオが女々しくうじうじ悩んでいる、全然男らしくない奴ってことが言いたいのかもね」
ボクは容赦しない。強い視線をゼテオに突き刺す。
「……喧嘩売ってるのか」
「何言っちゃってるの? 売ってるに決まってるじゃないか。今更過ぎるよまだわかってなかったの? このオバカ」
「っの……!」
ゼテオはきっとこう考えている。腹は立つが怪我人と本気で喧嘩するのは大人げない。だからここは一度病室を出て行こう、って。
そうはさせない。ゼテオが背を向けようとする気配に対して、ボクは先制する。
「逃げるの? 臆病者」
「──おい、いい加減にしろ」
機先を制されたゼテオはとうとう怒りを露わにした。燻る感情を声に込めて、ボクを静かに見下ろす。これ以上は踏み込んでくるな、彼はそう言っているのだ。けど、そんなの知った事じゃない。
「いい加減にして欲しいのはこっちの方だよ。一体いつになったらアシュリーさんの気持ちをわかってあげるんだよ? どうしてあの人がゼテオを庇ったのか、ちゃんと考えてあげなよ」
「お前にどうこう言われる事じゃない」
拒絶。まただ。ゼテオはまたこうやって他人の言葉を拒絶して、自分の世界に閉じ籠もる。お前には関係ない、俺には関係ない、そればっかり。
ボクは不意に爆発する。
「好きだったからに決まってるじゃないか! わかってるくせにどうして目を背けるんだよ! この意気地なし!」
「!」
コップの水をぶっかけるように、ボクはいきなり言葉を浴びせかけた。虚を突かれたゼテオが言葉を失って沈黙する。その隙にボクはさらなる事実を畳み掛けた。
「そうやって他人を拒絶しようとばかりするから肝心なところに目が向かないんだよ! ゼテオが〈エクステンド〉だから庇った? 貴重な〈エクステンド〉が死ななくて『良かった』!? ふざけんな! そんなわけないだろ! アシュリーさんが本当にそんなことを本気で『良かった』なんて言う人だと思ってるの!? そんなの侮辱だよ! 大体そんな風に心を閉じて、他人は関係ない、俺には関係ないっていう生き方をアシュリーさんがゼテオに望んでいたっていうの!? そんなわけないじゃないか!」
ゼテオは何も言わない。驚愕に目を見開いて、身体を凍り付かせて、無抵抗にボクの声を浴びている。顔に全部出ているわけじゃないけど、確実に彼は動揺している。だってボクが言及しているのは、ゼテオが一番触れて欲しくなかった部分だ。つまりそれほど脆い場所に、ボクは杭を打ち込んでいる。奥ほど敏感で繊細な部分に。
「……そんなに難しく考えないでよ。ゼテオが〈エクステンド〉で貴重な存在だからとか、そんな細かいこと計算してアシュリーさんは動いたりしないよ。ゼテオのために身代わりになったのは、そうするほどの気持ちがあったからに決まっているじゃないか。好きだったんだよ、ゼテオのことが。だから身体が勝手に動いたんだ。『良かった』っていうのも、別に貴重だからとかそういうんじゃなくて、立派だね、って。あたしたちは親がいないけど、あんたはそんなの関係なく強く生きていけそうだね、って。自分の惚れた男が〈エクステンド〉っていうすごい奴で嬉しい、って。ただそれだけだったんだよ……! それを何さ、俗物的だとか、〈エクステンド〉であることだけが俺の価値なのか、って……ひどいよ。アシュリーさんが可哀想だよ……そんな気持ち全然なかったのにさぁ……!」
ああ、ダメだ。何だか言っている内にすごく悲しくなってきた。このままじゃ泣いてしまう。水の入ったボトルを投げつけられただけで、当たってもないのに泣いてしまったボクだ。泣く自信だけはたっぷりある。
「しかも、そうやって今みたいに心閉じちゃってさ、そのせいでエーテルが出せないって思いこんじゃってさ、そんなことにも気付かないでまたうじうじ考えちゃってさ、なんでそんなに考え方が不幸なのさ……! 有り得ないよもおっ……! もっと心を開いて、もっと自由に生きようよ……!」
っていうかボクはもう泣いていた。それはもうボロボロと。枕に涙がどんどん染みこんでいく。ほっぺたが冷たいし、鼻の奥がつんと痛いし、喉に何か硬いものが詰まったみたいに苦しい。
「他人が自分とは関係ないなんて、そんな悲しいこと言わないでよ……! 一生懸命ゼテオに近づこうとしたアシュリーさんの気持ちをわかってあげてよっ……! じゃないと可哀想じゃないか……そんなの悲しすぎるよ……! ひぅっ……」
あ、もうダメだ。しゃっくりが出た。一生懸命言葉を作って言ってきたけど、もうここいらで限界だ。多分、本当に泣きたいのはゼテオの方だと思う。だけどしょうがないじゃん。ボクだって悲しいんだもん。ゼテオとアシュリーさんの思いがもの凄くすれ違っていて、それを思うだけで心底泣きたい気持ちになるんだ。
「ゼテオの……ふぇ……ばっかぁ……っ!」
次の瞬間、ボクの泣き声に火が点いた。遠慮なんて出来なかった。本当に久しぶりの全開泣きだった。大声でわんわん泣いた。ゼテオだって本気で困ったことだろう。きっつい事を言いたいだけ言ったら、赤ん坊みたいに大声で泣き出したんだから。泣きたいのはこっちだ、って思ったかもしれない。
だけど、ここらへんが大人のつらいところなんだろう。ボクが泣き出すとゼテオは目に見えて狼狽えて、意味もなく辺りを見回した。そして、不意にボクの頭に手を乗せて、優しく撫でた。
「……悪かった」
と、一言だけど、そう言った。
たった一言だけど、その一言にはとてもたくさんの意味が込められていて、それがわかってしまうボクはどうしようもなく複雑な気持ちになって、関係ないけど大きな手で頭を撫でられるのは多分生まれて初めてで、それがまた嬉しかったり感動だったりで、結局また大声で泣いてしまった。
なんだかんだで落ち着くまで十分以上かかった気がする。
涙の衝動が収まったボクは、ちょっと悩んだ後、やっぱり謝った。
「……ごめん……勝手なこと、言って……」
こんな風に謝罪されたってゼテオも返答に困るだろうってことはわかっていた。けど言わずにはいられなかったんだ。
予想通りゼテオは言葉の選択に困ったような顔をして、
「いや……」
と茶を濁した。彼にはもう怒っている素振りはなかった。それほどボクの言葉にショックを受けたのか。それとも、ちゃんと心を入れ替えてくれたのか。それはよくわからないけど。
気まずい沈黙が訪れる。
何のとっかかりもないまま十秒が過ぎてしまって、ボクが「そろそろ冷や汗が出そう」とか思っていると、
「……俺のエーテルが見えなくなったとか言っていたな。あれはどういう意味なんだ?」
「え?」
とボクが聞き返したのは、質問の内容が突飛だったからじゃない。ゼテオの聞き方がやけに素直で、その声が妙に優しい感じがしたからだった。思わず呟いてしまう。
「……そんな声、出せるんだ……」
「……質問に答えろ」
あらら。またいつもの調子に戻っちゃった。まぁしょうがないっか。急に優しくなられたらボクの方も調子が狂ってしまう。なんだか、こう、照れくさくて困ってしまうのだ。
だからボクの方もいつものように答えた。
「実は最初から変だなーって思ってたんだ、ボク。ゼテオってエーテルが使えないって言う割には、本気じゃなかったとは言えアレスくんを軽くあしらっていたし、ボクを狙ってきた連中をたくさん相手にしても全然負けなかったじゃん?」
「ふん。まぁ、俺は強いからな」
「はいはいごちそうさま」
ゼテオのボケを軽く受け流して、ボクは続ける。
「おかしいなーとは思ってたんだ。エーテルが使えないのに、やってることはエーテルストライカー並なんだもん。でもね、ようやくその答えがわかったんだ。ゼテオはね、エーテルが使えない訳じゃなかったんだ」
「? なんだそりゃ?」
「エーテルの色が無かっただけなんだよ。つまり、無色のエーテル。透明のエーテル。だから見えない。だから出ていないように見えるのに、効果だけはある。……あ、ムショクって仕事がないって意味じゃないよ? 言い得て妙だけど」
「ふざけるな。……俺のエーテルが透明になっていたって言うのか?」
「うん。じゃないと説明がつかないでしょ? アレスくんの蹴りを受け止めたことや、エルザやベルゼの言霊に対する抵抗力、ボクのフェアリーアイ≠ノよる記憶の改竄を逃れたこと。どれをとっても、ゼテオが『それなりに強力なエーテルストライカー』ってことじゃないと、不自然にならない?」
っていうか不自然だ。でもって、『それなりに強力なエーテルストライカー』というのを別名〈エクステンド〉と呼ぶのだ。
「……本気で言ってるのか、お前?」
疑ってかかるゼテオに、ボクはむっとした顔を向ける。
「何だよ、疑ってるの? 冗談じゃないよ。前にも言ったじゃん。ボクのフェアリーアイ≠ヘ絶対に嘘をつかないって。だから本当の事だよ。ゼテオが〈エクステンド〉で、でも他人に対して心を開かないようになったから、エーテルもその心理状態の影響を受けて変化したんだ。正体を見破られたくない。自分の価値が〈エクステンド〉ってことだけだなんて思われたくない。だから隠そう──っていう心がね。そのままエーテルにも出たんだよ、きっと」
きっと、というか、間違いなくそうなんだけど。敢えてここははぐらかして言う。断定口調はなんだか憚られた。
ゼテオは黙り込む。それはそうだろう。十年間、自分はエーテルストライカーなのか、〈エクステンド〉なのか──って悩み続けてきたんだから。目の前にあっさり正解をぶら下げられてもそれが簡単すぎて飛びつく気になれないのは、自分でやっておいて何だけど自然な反応だと思う。
「だから、ゼテオが心を開けば……エーテルは姿を現すよ? ボク達と同じ、虹色の輝きをね。……アシュリーさんの時みたいに、誰かを心に受け入れて、それが離れていく際に胸のあちこちを剥がしていくのがすごく辛かったんだよね? 誰かと別れるのがこんなにつらいなら、もう誰も受け入れないでおこう、って思ったんだよね? でもね、厳しいことを言うようだけど、それは誰だってそうなんだよ? 受け入れて、別れたり、裏切られたりして、傷つきながら誰もが生きてるんだもん。ゼテオももういい大人なんだから、そんな弱音吐いちゃダメなんだよ? わかって──ぶふっ!?」
ゼテオがいきなりボクの後頭部に手を乗せたかと思うと、そのまま顔を枕に押しつけられた。うわあ何するんだ!?
「やかましい。ガキが偉そうなことベチャクチャ言うな。虫酸が走る」
「──ぶはっ! な、なぁにするんだよぉ────────ッ!? ひどいじゃないか! ひどいじゃないかッ! 人が抵抗出来ないのをいいことにぃ!」
「そりゃこっちの台詞だ」
ふん、と鼻息も荒く言ったゼテオの言葉に、ボクはぎくりとする。やぶ蛇だったかもしれない。確かについ先刻、何も言い返せないゼテオに言いたい放題だったのはどこの誰だったっていうのか。うん、ボクも人のこと言えないや。
「ったく生意気ばかり言いやがって。だからお前みたいなガキは嫌いなんだ。この疫病神のバクテリアめ」
「……バクテリアじゃないもん」
疫病神ってあたりと、実際にヒートアップして生意気言いまくったのは本当の事だから強くは言い返せないボクだった。
「まぁいい。おかげで長年の疑問が解けたしな。そこに関してだけは礼を言ってやる」
ぐしゃぐしゃと、まるで犬か猫を撫でるみたいにゼテオはボクの髪の毛をかき乱す。と、その時の感覚で再確認したけど、ボクの髪の毛やはり大分短くなっているみたいだった。うーん、すっきりしたような、なんだかちょっと寂しいような、複雑な気分だ。
「……って普通に流しちゃったけどゼテオがお礼だって!? 有り得なくない!?」
「やかましい」
「ぶふゥッ!」
そのまま枕に埋められるボクの顔。素直な感想を声を大にして述べただけなのに、なんてひどい奴だ。
「……借りは返す。きちんとな。それで全部チャラだ」
ゼテオは急に平淡な声でそう言った。その言葉にボクはどことなく、うまく表現出来ない不安を感じる。何だよ、やっぱりボクが言ったことを理解してないのか? そういう他人と距離をとる態度が良くないって言っているのに。
「肝心な話はそれからだ。俺がちゃんと正体を見つけて、お前と対等に話ができるようになってから、改めて相棒の話をしてやる。だから、それまではしっかり身体を休めて、じっくり傷を治せ。いいな?」
「あ……」
ゼテオの言ったことが、すとん、とボクの胸の一番深いところまで落ちてきた。同時に、嬉しさが込み上げてくる。
ちゃんとわかってくれてた。ゼテオは、ちゃんとボクの言葉を聞いてくれてたんだ。
ぱっ、とゼテオがボクの頭から手を離した。それに合わせて一生懸命顔を上げると、ゼテオは背を向けて病室を出て行こうとしていた。ボクは逸る気持ちを抑えきれなくて、大声で言った。
「うん! 楽しみにしてるから!」
ゼテオは振り向きもしないで、片手をひらひら振って部屋を出て行った。
ばたん、と扉が閉められる。
ボクはゼテオの足音が遠ざかっていくのを聞きながら、不意にこう思いついた。
「……あれ? ちょっと待って?」
自分がゼテオに言った言葉を、何故か思い出してしまった。
アシュリーさんがゼテオを庇ったのは、好きだったからに決まってるじゃん、とボクは言った。で、なんだかんだで昨日ボクもアシュリーさんと同じ事をした。じゃあつまり、ボクもゼテオが好きだって事に、なる……?
「うわあっ!?」
しまったぁ────────ッ!? うわあきゃあぎゃあどうしようどうしよう!? すごい勘違いされたかもしれないじゃないかボクのヴァカーっ!
は、恥ずかしいっ! ど、どうしよう? 今からでもフェアリーアイ≠ナ過去を改竄しようか!? ってそんなこと出来るわけ無いだろボクのアホーっ!
誰もいない病室で一人、両手両足の拘束具を引っ張ってベッドをガタガタ揺らしながら、うつぶせで悶えるボクなのだった。
情けない。
ガキ相手にあそこまでいいように言われてしまうなんてな。
しかも言い返せなかった。
何もかもが的を射ていた。言葉の一つ一つが図星ばかりで、ことごとく俺の胸を撃ちやがった。
本当に情けない。
俺は真性の馬鹿だ。マテリアが言うとおり、俺はただ何も考えず、うじうじ悩んでいただけだったのだ。
アシュリーの気持ちなど考えようともしていなかった。彼女の気持ちを疑ってかかり、真剣に考えているつもりで、その実は全く考えていなかったのだ。
ただ逃げていたのだろう。アシュリーの想いから。そして、それが生み出した結果から。
自分自身の愚劣さから目を背けるために。
そう。全ては俺の責任だったのだ。
アシュリーは何も悪くない。それどころか俺に好意を持っていてくれていたと、自分でも思う。俺はそのことからずっと目を逸らし続けてきた。その事実を受け止めるだけの強さを持っていなかったのだ。
何もかもが俺の不甲斐なさが招いた結果だった。
俺が一匹狼など気取っていなければ。もっと素直でいれば。アシュリーに心を開いていれば。喧嘩ばかりの毎日など過ごしていなければ。
アシュリーは今も生き続けて、俺の傍にいてくれたかもしれないというのに。
その事実にただ目を背け続けていただけなのだ、俺は。
もし、たら、れば、かも──仮定の話などいくらしても無駄だが、それでも俺は思う。俺がほんの少しでも生き方を変えていれば、その先の未来は、今とは比較にならないほど違ったものになっていたのではないだろうか、と。
もっと他人に心を開いて、自由であれば。何かが変わっていたのかもしれない、と。
だが、今からでも遅くはない。俺は、俺自身に向き合わなければならない時に来ているのだろう。マテリアが言っていたことはおそらくそういうことだ。
他人などどうでもいい、俺には関係ない。ずっとそうやって生きてきた。その結果が今だ。所詮、他人と無関係のまま生きていくことなど出来ないというのに、俺は一体何を考えていたのだろうか。ただ現実に対して、拗ねていただけじゃないのか? まるで子供のように。
臆病者、とマテリアは言った。そう、俺はきっと怯えていたのだ。他者との繋がりが出来てしまうことを。その繋がりが断たれる時に受ける痛みを。
変わらなければならない。あんな子供に説教されるぐらいだ。俺はもう、いつまでもウジウジしてなどいられないのだ。
アシュリーは俺が〈エクステンド〉だから身を挺して庇った訳じゃない。俺が『俺』だから彼女は助けようとしてくれたのだ。アシュリーが打算で動くわけがないと知っていながら。そんな簡単なことが、今になるまで、あんな小娘に言われるまでわからなかったなんてな。
自分の心がどれほど内側に閉じ籠もっていたのか、今ならよくわかる。
また、それ故に俺のエーテルが色を失っていたとはな。みっともない話だ。
エーテルの色は、エーテルストライカーの心を表す。見えなくなっていたエーテルは、まさしく見失っていた俺の心そのものだったわけだ。
透明というのは本心を隠し、自分の価値を見出せていなかった俺にはひどく似合いの色だったんだろう。
全く、本気で情けなくなってくる。
だが、これからはそうはいかない。
俺は変わろうと思う。現実からはもう目を背けず、他人を拒絶しないように。
すぐには出来ないかもしれない。アシュリーが望んだようにはなれないかもしれない。
だが、もう過去に囚われることだけはやめられるはずだ。自分の中に閉じ籠もらずに、自由な心を持って──などというと我ながら寒気が走るが。
何故そう思えるのか、実は自分でもよくわかっていない。この気持ちは何て言うのだろうか。勇気、などというジンマシンが浮き出てきそうな単語が脳裏に浮かぶ。
ふん、柄じゃないな。まぁ、そんなことを言えば、またマテリアは「クールぶってハードボイルド気取っても格好悪いだけだよ」などと馬鹿にするんだろうが。
……アシュリーもそう言うのだろうか? いや、そう言っていたんだろう。だからあいつも俺に対して「もうちょっと心を開いてもいいんじゃない?」と進言していたのだ。
アシュリーのひまわりのような笑顔が目に浮かび、音楽のように陽気な声が耳に蘇る。
『あんたは強いんだから、きっと何もかんもを呑み込んで力にしていけるって。エーテルストライカーなんだろ? もっとましな生き方しなさいって!』
昔の俺ならば「余計なお世話だ」と言ったところだろう。だが、今の俺はこう思うのだ。
それも悪くないな、と。
少なくともアシュリーやマテリアの声や笑顔ならば、力にしていけるかもしれない、と。
「……ぐっ……!」
……やばい、我ながら砂を吐きそうなことを考えてしまった。冗談抜きで気分が悪くなってきた。やはり柄じゃなかったか……?
凄まじいおぞけが背筋を何度も上下している。おのれ。当たり前だが、俺はとっくに青臭い時代を過ごし終えているのだ。今更、人生を前向きに考えるなど、もはや肌に合わなくなっているに違いない。
とりあえず、多少は気をつけることにして、無駄に青臭いことはもう考えないようにしよう。
俺はマテリアの病室を辞した後、病院の出入り口付近にまでやって来ていた。何の考えも無しにここへ来たわけではない。
さっきからアレスの姿が見えないのだ。
あいつはマテリアが目を覚ます一時間ほど前までは俺と同じく病室に待機していたのだが、突然部屋を出て行ったきり、まだ戻ってきていない。
最初は特に気にしていなかったのだが、これはどう考えても遅すぎる。もし、戻ってこないのではなく、戻って来れないのだとしたら?
あれだけマテリアを心配していた奴が、あいつが目覚める時間になっても戻ってこないのは、それなりの理由があるからに違いない。
では、現状でそれに値する状況と言えば?
……つまりはそういうことだ。
案の定、朝っぱらの病院前の広場に、アレスとそいつらはいた。
長い銀髪と、青と緑の金銀妖瞳を持つ〈エクステンド〉の双子。エルザリオンとベルゼリオン。
なるほど。それなりの手傷を負わせた、というアレスの言葉は嘘ではなかった。双子の方もアレス同様、制服の所々が破れ、散々な状態になっている。
というかアレスにせよ双子にせよ、他に着るものはないのか。『水晶機関』は制服を一着しか貸与しないほど貧乏機関なのか? まぁ、俺もズボンとジャケットはほぼ毎日同じものを着用しているから他人のことは言えないが。
三人は距離を置いて睨み合っていた。どうやら、病院までのこのこやって来た双子の前にアレスが立ちはだかっているという図式らしい。
俺が横に並ぶと、アレスはこちらに目もくれずに言う。
「何しに来たんですか」
随分なご挨拶だ。何も俺だって好きこのんで来た訳じゃない。出来ることなら自分の部屋に帰って眠りこけたいぐらいだ。いや、それどころじゃないな。その前に仕事を探しにいかなければ、明日喰うパン代すらなくなってしまう。かといって本当に仕事を探しに行けば、マテリアが双子に殺されて後味の悪い結果になってしまうだろう。だから俺はジャケットのポケットに両手を突っ込みながら、こう答えた。
「ジレンマを解消しに来ただけだ」
「……?」
アレスが怪訝そうにする気配が伝わってくるが、それは無視した。
俺は目の前の双子に声をかける。
「よう、チビ猿共。ヴェイルがとっくに『水晶機関』に話をつけて、お前らの任務には中止命令が出ているんだぞ。だから大人しく帰ってバナナでも食ってろ」
「無駄です。既に私がそう言いました」
アレスが口を挟んでくる。確かに、俺の視線の先にいる〈エクステンド〉の双子は妙に愉快そうな顔でこっちを見てやがる。あれは腹に一物ある奴のする面だ。
「この間は何の役にも立たなかったクソ猿が何か言っているわよ、ベルゼ?」
「言霊一つで気絶しおった奴が偉そうな口を叩くものじゃのう、エルザよ」
どうやら俺は「バン♪」だけで気絶したことになっているらしい。ふざけるなってんだ。マテリアの奴も適当な記憶改竄しやがって。
「おい、チビ猿共。俺には嫌いなものが三つほどあってな」
俺はポケットから右手を取りだし、指を三本立てて見せる。
「まず、目立つこと」
これは今は関係ない。だから指は折らない。
「次に、生意気なガキ」
これは大いに当てはまる。指が一本消えた。
「最後に、舐められること」
これもどんぴしゃだ。俺はもう一本指を折る。残る指は一本だけ。これだけ残ってしまったんじゃ妙に具合が悪い。よって俺は嫌いなものをさらに追加することにした。
「で、今さっき新しく嫌いなものが出来たんだが……それはな」
さて、何にしようか。今更考えてみる。何かとっておきの言葉は無いものだろうか。いや、特に思いつかないな。なら、
「俺のことを舐めきった、クソ生意気な双子のガキの相手をすることだ」
個人特定でいいだろう。
最後の指を折る。これで全部の指が消え、俺は拳を握る形になる。
俺はそのまま親指を立てて、その先端で首を刈り取る仕草をした。ついで、親指で足下を力強く指し示す。
双子の表情が険しいものに変わった。子供でもこの程度のジェスチャーは知っているらしい。
意訳。地獄へ堕ちろ、だ。
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