| ? | O.B.Kの感想 |
| あ い つ は オ バ ケ じ ゃ な い ? の 感 想 |
さつきさん 「O.B.K」、読み終わりました。 しっかりとした文章と、しぜんに物語に入っていけるようなストーリー進行で、とて も読みやすかったです。場面場面での描写につかわれている言葉なんかも、個性が あってありきたりでなく、なにより情景が伝わってきました。前の作品の「ヘブンズ ヴェトレイヤー」なんかでも、キャラクターのオッドアイの描写がとても綺麗だなぁ と感じたのを覚えています。 作中でとても印象に残ったシーンは、ふたつでした。 ひとつめは、輝色が桂介への協力を決定する場面で、「みんな俺を無視していっちゃ うんだ」という台詞を桂介が語り、輝色がその吐露が自分の状況とそっくり同じなこ とに胸を打たれてしまうシーンでした。 オバケは生きている人間には見えないことが、なんとなく輝色が自殺を選んだ理由と 二重写しになっているような気がして、読んだ瞬間、ふたりの生の感情に触れた気に なりました。 もうひとつがラスト前の、輝色が人間に戻るすこし前のシーン。 桂介から「死んだこと」への感想を聞かれた輝色が、かつて死のうとしていた自分と 話してみたい、と言い出したときは、あとに続く桂介のセリフを前にして、「成長し たんだな」という嬉しい実感が湧きました。 自分を振り返ることができたということは、その時の自分よりも着実に一歩前に出て いるからでしょう。冒頭から輝色の軌跡を追いかけてきた読者としては、待ち焦がれ ていた展開。よかったです。 ラスト、蘇生に成功したとばかり思った桂介がいきなり消えてしまい、打ちのめされ た輝色が目を覚ますと、なんと桂介が横で寝ていた、という展開ですが、「どんな理 由だっていい」と心から喜ぶ輝色の気持ちにはとても共感できるし、桂介のことだか ら消えたのもまたなにかのブラフで、目覚めたらしたり顔できっかりと理由を話して くれるのだろうとは思うのですが――やっぱり読者としては「どうして?」って思っ ちゃうんですよね。桂介がそこにいるという「謎」が解かれていないから。 もし実際にあのあとに桂介が理由を語る展開を付け加えたとしたら、蛇足になってし まう、または終幕のキレが鈍ってしまう可能性も多いにあると思いますし、仙戯さん もそういう様々なことをすべて見越した上でああいうラストを書かれたのでしょうけ れど。 ここはきっと意見がわかれる部分だと思いますが、私個人としては一読後に小さな違 和感が残ってしまいました。 ともあれ、とても楽しく読ませていただきました。いきなりのメールだったのにもか かわらず返信くださって、ありがとうございました。そして、短い感想&鈍足返信で 申し訳ありません。 それではこの辺にて失礼します。 仙戯さんの次なる新作、楽しみに待ってます。 |